【2期準備記事】桜内梨子〜「海」と出会って「桜」はまた咲く〜
アニメ2期開始まであと2週間と少し、2期開始までに9人全員について1期の振り返りと2期への期待を書こうと始めたこの企画も8人目まできました。
かつて「ぷらんたん」というグループが
1日は短いから欲張りな私たちはあれもこれもしたい
1年は長いようでもいつの間にか過ぎ去ってく
(出展:WAO-WAO Powerful day!)
と歌っていましたが、本当にあっという間でした。
さて、8人目の今回ですが、
投稿日の本日9月19日が誕生日!
おめでとうございます!
Aqoursの作曲担当にして、 ラブライブ!サンシャイン‼︎の物語のスタートの鍵
桜内梨子です。
◯1期を振り返…る前に
1期開始前、今回のように9人それぞれについて書いたことがありました。
そこで私は「梨子はラブライブ!サンシャイン‼︎のヒロインではないか」と書きました。
媒体ごとに設定が違うラブライブ!サンシャイン‼︎ですが、どの媒体でも一貫している絶対のルールがあります。
それは、梨子が音ノ木坂から転校し、千歌と出会うことで物語が動き出すことです。
千歌と梨子が運命の出会いをする(初めて会う場所に違いはありますが)というのは物語上の必然なのです。
ゆえに梨子はラブライブ!サンシャイン‼︎のヒロインなのです。
ではアニメ1期ではどうだったのか…?
◯1期を振り返って
1期での梨子は部分部分で見ると不満を持つ人はいるかもしれないですが破格の扱いだったと思います。
何が破格かというと、転機となるエピソードが2回あったのです。
1期ではメンバーを揃えることが軸となるので「加入回で焦点が当てられ、加入エピソードがそのキャラの転機となるエピソードになる」というのが王道の展開となります。
メンバーが9人いるラブライブ!ともなれば、加入後は他のメンバーの加入優先になり、全メンバー加入後は残り話数の都合でクライマックスに向けての話になるので一人につき主役となるエピソードは1つあればいい方です。
しかし、梨子は加入した2話に加えて10話〜11話でもう一度転機となるエピソードがあったのです。
ちなみに誰かの転機となるエピソードに別のキャラの転機をねじこむという荒技もあって、黒澤姉妹にそれを期待したのですが実際にあったのはルビィと花丸、梨子と曜だったことを付け加えておきます。
・1つ目の転機「変われ変われって今日から新しい世界へと」
第1話、千歌と梨子の出会いは
まさに衝撃でした。
まさか脱ぐとは。そして飛び込むとは。
ここで千歌は会ったばかりの梨子に自分のコンプレックスを話します。1期時点で千歌の普通コンプレッスを明確に千歌から話されているのは梨子だけというところからもその重要さがうかがえます。
11話の話ぶりからすると曜も千歌の普通コンプレックスには気づいてるっぽいですが……それは次回じっくりと語ります。
そして第2話、梨子に作曲をしてもらう(あわよくばスクールアイドルに加入してもらう)ために千歌は猛アタックをかけますが撃沈。
「簡単に言わないで」と千歌の励ましを梨子ははね退けます。
ピアノが思うように弾けない、弾いていても楽しくない、梨子にとってそれは大きな問題でした。
梨子の物語における重要な要素は「ピアノ」です。梨子が内浦に来た理由は明言されていませんが、アニメ版に関してはピアノを弾けなくなったことが関係していると見て間違いないでしょう。
海の音を梨子に見つけてほしい、と千歌は梨子をダイビングに誘います。
梨子は千歌の誘いに乗ってダイビングをしますが……
海の音は聞こえません。
梨子は「簡単にはいかない」と漏らしました。
景色は真っ暗でイメージしても海の音はわからないと。
それをきいた千歌はもう一度潜ってみようと今度は千歌・曜・梨子の3人で潜ることにしました。
もう一度潜ってはみたものの見えるのはさっきと同じ景色、
しかし、千歌と曜が指差したのは上でした。
海底の暗さではなく、水面の明るさに目を向けた時、
梨子の目に飛び込んできたのはそれまで見ていたのとは正反対の眩しい世界でした。
そして、梨子は海の音を見つけました。簡単には見つからないと思っていた海の音は、見る方向を変えるという簡単なことをすればすぐ近くにあったのです。
海の音を聴くきっかけをくれたお礼に梨子は作曲だけという条件で千歌のスクールアイドル活動に協力することにしました。
そして、千歌と曜と曲作りを始めるのですが、「スクールアイドルが大好き」その一心で楽しそうに作詞をする千歌の姿を見た時、
梨子の脳裏には幼い頃の記憶が蘇ってきました。
ピアノを弾くのは楽しい。だからピアノが好き。
幼い梨子にとってはそれがピアノのすべてでした。
ピアノを続けてきた原点を思い出した梨子は久しぶりにピアノと向き合いました。
弾いた曲は「ユメノトビラ」、μ'sのアニメ2期第2話で作られ、第3話で挿入された曲です。
「ユメノトビラ」が作られた時、μ'sも今の梨子と同じ問題に直面していました。
作詞担当の海未、衣装担当のことり、作曲担当の真姫の3人がスランプに陥ってしまっていたのです。「ラブライブ!予選突破のためには良いものを作らなければならない」というプレッシャーが3人を追い詰めていました。
梨子のように焦るばかりで前に進めなくなってしまっていたのです。
3人がどのようにスランプを乗り越えたかは
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こちらを見ていただくとして、
スランプを乗り越えた3人は一晩で新曲「ユメノトビラ」を作りあげ、μ'sは当時明らかに格上であったA-RISEとの共演のすえ、予選を突破しました。
そんなユメノトビラが時を超えてμ'sの意思を継ぐものを繋ぎます。
ユメノトビラの音を聴いて廊下に出た千歌とユメノトビラを弾き終わってふと外を見た梨子は家が隣どうしであることを知りました。
何をやっても変われない、どうしていいかわからないと悩みを打ち明けた梨子、
千歌はスクールアイドルをやってみないかと梨子を誘います。
もう何度もあったやりとりです。しかし、海の音を聴き、かつてのただピアノが楽しかった自分を思い出し、千歌のスクールアイドルへの想いを知り、梨子はもう無碍に断ることはしませんでした。
ピアノを諦めてスクールアイドルをやることはできない。
ピアノが大切だから、ピアノを好きな気持ちから目を背けてスクールアイドルをすることはできないと梨子は断ります。
スクールアイドルをやって、変われたらまたピアノを弾けばいい。ピアノを諦めることはないと千歌は言いますが、
しかし、梨子は千歌の誘いを断ります。
中途半端な気持ちでスクールアイドルをやるのは失礼だ。
スクールアイドルがどれほど千歌にとって大切か知ってしまったから、それは梨子がピアノに対して抱くものと同じだから、スクールアイドルに本気になれない梨子はスクールアイドルをするべきではないと。
それでも梨子の力になれるならいいと千歌は答えました。
みんなを笑顔にするのがスクールアイドルだから 、と
かつて、とあるスクールアイドルが言っていましたね。
アイドルは笑顔を見せる仕事じゃない、
笑顔にさせる仕事なのだと
その意思は彼女の後輩たちに受け継がれているようです。
©2013 プロジェクトラブライブ!
出典:U-NEXT
にっこにっこにぃ〜(^o^)
乱入ノルマも達成したので本題に戻ります。
少しずつですが、二人が手を伸ばしあった時、
届かないと諦めかけた手はわずかですが触れ合いました。
これをご都合主義だと言うならその通りです。これはラブライブ!サンシャイン‼︎という物語なのだから。
ですが、まったく同じ海中でもほんの少し目を向ける先を変えるだけで見える景色が変わり、
海の音を聴いたことで梨子はほんの少しですが千歌たちに協力するようになり、
ピアノが大好きという原点を思い出した梨子はほんの少しですがピアノに向き合うことができ、
そのピアノの音が千歌に届き、これ以上ないタイミングで千歌と梨子は会うことができました。互いにほんの少しずつ伸ばした手は届かないと思っていた距離をつなぐことができました。
梨子は変われないと言っていましたが、この時すでにほんの少しずつですが変わっているんですよね。そしてその積み重ねが梨子の転機となりました。
そして、梨子はスクールアイドルとなり、ファーストライブやら1年生の加入やら東京での挫折やら3年生の加入やらを経験していきます。
そして、メンバーも揃った夏休みに梨子にとって2つ目の転機が訪れます。
・第2の転機「何かを掴むことで、何かを諦めない」
梨子の2つ目の転機のきっかけはかつてピアノに向き合えなくなっていた梨子がピアノを弾くことから逃げてしまったピアノコンクールの案内でした。
ピアノコンクールはラブライブ!予備予選と同じ日、つまりどちらにしか出られません。
過去へのリベンジか、Aqoursとして過ごす日々か、梨子はどちらが自分に大切かを考え、Aqoursとしてラブライブ!予備予選に出ることを選びました。
梨子にとってスクールアイドルとして千歌たちと共に過ごす日々はかけがえのないものになっていたのです。
「今の自分の夢はAqoursとして良い曲を作ること」と梨子は千歌にラブライブ予備予選に出ることを伝えました。
それは千歌にとって嬉しいと同時に複雑な答えでした。
梨子がピアノを大切に想う気持ちも梨子がスクールアイドルをはじめた理由も千歌は知っているのですから。
ピアノかスクールアイドルか?
選択そのものの是非を千歌は問います。
どちらが大切か?でAqoursを選んでくれたのは嬉しいが……
梨子にとってピアノはスクールアイドルで得たものと同じくらい大切なのではないか?
どちらが大切か?ではなく、どちらも大切なのではないか?
だからピアノコンクールに出てほしい。どちらも梨子にとって大切ならば、スクールアイドルAqoursに帰ってくるのをみんなと待っているからピアノを大切にしてほしい。
「何かを掴むことで何かを諦めない」でほしい。
千歌の想いを受け、梨子はピアノコンクールへの出場を決めました。
そうして迎えたピアノコンクール&ラブライブ!予備予選
梨子が見つけた海の音のメロディから生まれた「海に還るもの」
それに千歌が"大切なものとは何か"をテーマに考えた歌詞をつけた曲「想いよひとつになれ 」
別々のステージですがどちらも9人での演奏でそれぞれの勝負に挑みました。
何かを掴むことで
何かを諦めない
どこにいても同じ明日を信じてる
それは大切なものとは何かを千歌なりに考えた答えでもありました。
ちなみに1stライブでの一連の出来事からこの曲は梨子(というかりきゃこ)の曲のイメージが強くなってますが、私はあくまでもこの曲は千歌と梨子と曜の3人のテーマソングなのだと思います。
10話の千歌と梨子の関係から曲が生まれ、11話では曜と梨子の立ち位置の違いを浮き彫りにし、千歌と曜がぶつかり合う形の振り付けに作り直された=曜は梨子とは別の千歌にとって大事な存在であることを証明した曲なので。
場所は離れても9人の想いをひとつにした演奏は成功し、Aqoursは予備予選を突破、梨子はピアノへのトラウマを克服しました。
ピアノへのトラウマを克服した梨子は12話で複雑な過去の象徴であった音ノ木坂にも行くことができ、音ノ木坂=過去が自分にとって大事なものだということも実感できました。
◯2期に期待すること
・千歌にとって特別であることへの問題提起
梨子の1期での扱いは全体としては良かった。
しかし、2期での梨子の扱いはそのままでいいのか?とも思います。
1期を振り返ってみると、梨子と千歌の関係は他のメンバーとは別種のものとして扱われていたように思います。
冒頭で書いているように物語の始まりの時点で梨子がキーポイントとなるのはもちろん、
1話:初対面で普通コンプレックスを打ち明ける、
2話:家が隣どうしであることが判明、梨子加入は二人っきりのシーンで進む(他のメンバーの加入は「何をどう乗り越え加入したか」をその時点のメンバーが目の当たりにする形で展開したが梨子は違う)
6話で千歌の学校への想いをみんなが帰った後二人きりになったタイミングで聞く、
7話の旅館シーンで他のメンバーが寝た後に二人っきりの会話をし、梨子だけが千歌の不安な気持ちを聞く、
8話のこれ、
10話で他のメンバーが寝た後に2日連続で二人っきりの夜の会話、ピアノコンクール関連はほぼ千歌と梨子の間でのみ話が進む、
11話で曜の抱える問題を明らかにするためとはいえ千歌との親密さが強調される、
12話では音ノ木坂に行くことが千歌と梨子にとって意味は違うにしろ共通のターニングポイントになる、
13話ではまた二人っきりの会話で千歌の学校や地域への想いを聞く、
などなど、これでもかというくらい物語の重要なシーンで千歌と梨子にしかわからない世界が展開されています。
もちろんそれ以外にも重要だったシーンはあるので全部が千歌と梨子だけで進んでいるわけではないです。
でも正直多いです。家が隣という地の利を得てしまったのが一番の要因ではあるのですが、ラブライブ!サンシャイン‼︎という物語の中に千歌と梨子だけの別の物語がある、そんなイメージすらあります。
μ'sは「みんなが主役」の9人が集まった物語でした。リーダーという役割を持った穂乃果に焦点があたったものの、特定の関係でストーリーが進んだわけではなく、μ'sのメンバーどうしやその周りの人たちがそれぞれ影響を与えてきました。
μ'sに合わせろという話でもないのですが…現状、千歌と梨子の二人だけの世界に他の7人が巻き込まれている感は否めないです。
もしかしたら千歌と梨子の関係がストーリーの重要なシーンになっているという状況こそが2期以降に向けた時限爆弾なのかもしれないです。二人だけの世界であるがゆえにメンバーの介入が遅れてしまう、そんな展開があるのかもしれません。
◯しいたけとの和解
アニメ1期で残された課題、2期でなんらかの変化を起こしてほしいポイントです。
梨子が犬嫌いなのはもう十分わかりました。
ならば2期では犬嫌いという設定に変化を起こしてほしいです。
梨子のピンチをしいたけが助ける、もしくはしいたけのピンチでAqoursが動く、それをきっかけに梨子の中のしいたけ、ひいては犬に対しての苦手意識が薄れていくような。
◯千歌曜以外との関わり
1期ではほぼ千歌、たまに曜との関わりがあるくらいで他の学年との関係は無いに等しかった。あったとしても千歌を通しての関わりでした。
梨子は転校してきたばかりで1期は作中の4月〜夏休みまでとなればメンバーとの関係が同学年以外ほぼないのは仕方ないといえばそうなのですが、他のメンバーに目を向けると1期時点でも黒澤姉妹、果南・千歌・曜の幼馴染関係、曜・善子の沼津在住コンビといった学年を超えた関係があるし、ちょっとした会話であれば他の学年とのやりとりもありました。
千歌以外のメンバーにとって梨子がどういうイメージなのかは1期11話でも少し出ていましたが、
生徒会室での3年生の会話では「今の様子では」千歌と梨子がスクールアイドル部を始めた方がしっくりくるくらい梨子は千歌とセットで捉えられているようでしたし、電話での反応からわかるように1年生と梨子は普段あまり関わりがないようでした。
2期では梨子が千歌以外とも関わるようになってほしいものです。
◯過去と今をどちらも大事に
「逃げるのを諦めた」
9話で鞠莉が果南に言ったセリフの中にあったフレーズ、梨子はどうやらこれが引っかかったようです。
梨子もピアノから逃げて浦の星女学院にきたわけで、同じように過去から逃げていた(ということになっていた)果南の事情に何か感じるものがあったのでしょう。
1期ではスクールアイドルという今に支えられて過去を克服した梨子ですが、それは今すぐではなくともAqoursの活動が終わったら梨子が内浦にとどまる口実はなくなったとも言えます。
私はキャラについて語るとき、そのキャラにとっての課題とは何かという視点をよく用いますが、梨子の課題は「過去と今の自分の両方を受け入れ、そこから未来の自分に繋げること」だと考えています。
ピアノで挫折した過去も、スクールアイドルを始めて立ち直った今もどちらも梨子には大事なのだと思います。
そして、2期では1期とは逆にピアノをしていた過去がスクールアイドルとしての困難を乗り越えるきっかけになるのではないかと予想しています。
過去にとらわれて今を見失うのではなく、
今のために過去を捨てるのでもなく、
過去も今もどちらも大事にしてピアノもスクールアイドルも未来につなげていく、2期以降はそのような梨子を期待しています。
こんな感じで梨子についての2期直前記事は終わりにしたいと思います。
次回はついにラスト、曜です。
曜はアニメ1期について書きたいことがたくさんあるキャラであり、2期の鍵になるのではないかと思っているキャラでもあります。
2期開始が近づいてきましたが、放送開始までになんとか書き終わるように頑張ります。
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となっています。